あらすじ
『NO TRACE ―影を追う者― II 消された依頼人』あらすじ
探偵・榊冬馬のもとを、一人の女性が訪れる。
依頼内容は、三週間前から行方不明になっている弟を探してほしいというものだった。
成人男性の自主失踪。
警察は事件性なしと判断していた。
だが女性は言う。
「弟は、何も言わずに消えるような人ではありません」
冬馬は依頼を引き受け、翌朝から調査を開始する。
ところが――。
弟が勤務していたはずの会社には在籍記録がない。
そして依頼人へ連絡しようとすると、電話番号も住所も勤務先も存在していなかった。
昨日まで冬馬の前にいた女性が、
一夜にして社会から消えていた。
残されているのは、彼女が直接書いた依頼書と、一枚の写真だけ。
「人が消えたんじゃない」
冬馬は気付く。
「誰かが、存在した痕跡を消している」
調査を進めるにつれ、同様の失踪事件が次々と浮かび上がる。
消された勤務記録。
失われた写真。
存在しないことにされた家族。
そして事件の先に見え始める、人体実験の痕跡。
かつて冬馬自身を人ならざる存在へ変えた組織が、
再び人間を集めていた。
だが今回、冬馬が追うべきものは怪人ではない。
怪人になる前に、その人間が誰だったのか。
名前は何だったのか。
誰がその帰りを待っているのか。
そして――まだ人間として救うことができるのか。
これは、社会から消された人々の痕跡を追う探偵と、
人間そのものを「存在しなかったこと」にしようとする組織との戦い。
記録が消されても。
名前が消されても。
誰かが探し続ける限り、
その人間はまだ消えてはいない。
――NO TRACE。
痕跡がないなら、探偵が見つければいい。