あらすじ
━ ━ ━ ━ ━お話ししましょう、さいごですから。
その言葉は、母の決めセリフだった。
惜しみなく向けられる柔らかな微笑みと、優しい声が大好きだった。
母と一時でも離れるのがイヤでイヤで、駄々をこねにこねまくって仕事に連れて行ってもらったのが4歳の時。
初めてぶつけられる悪意が怖くって母にしがみついたのを覚えている。
人ならざる者を相手に、僅かな敵意も恐怖もなく慈愛に満ちた瞳で前を見つめてその言葉を聴く。
武器も防具もなく、言葉と『心』で人と人ならざる者を救う母の背中は眩しかった。
誰にでも優しく、同時に誰よりも強い自慢の母だった。
………中学二年生の秋。そんな自慢の母が、未送信のメール一つを残して消えた。