あらすじ
ケーキは四十八個。正社員は四十八人。派遣社員は七人。
創業八十周年を祝う大企業で、白石紬たちの分だけがなかった。
三十四歳、時給千六百五十円、契約更新は三か月ごと。
「簡単な入力仕事」のはずが、納期調整も請求確認も、営業が忘れた仕事の後始末も紬の担当。手柄は上司、ミスは派遣。それでも、正社員登用の言葉を信じて働いてきた。
そんな彼女に、上司は言い放つ。
「嫌なら更新しなくていい。代わりはいくらでもいるから」
――分かりました。では、更新しません。
引継ぎは丁寧に。記録は会社に。退勤は定時に。
紬が自分の人生を選び直したとき、同じように耐えてきた仲間たちも、それぞれの出口へ歩き始める。
やがて派遣社員が一人もいなくなった会社では、「誰でもできる仕事」が止まり、隠されていた経営の綻びが噴き出していく。
これは、大企業の破産までを描く、働く女性たちの逆転劇。
会社を支えるために削ってきた人生を、今度こそ自分のために取り戻す――。