あらすじ
歌舞伎町では、誰もが何かを求めている。
金。
愛情。
居場所。
承認。
そして、自分の人生を選ぶ権利。
32歳のスカウトマン・榊玲司は、夜の街で人を仕事へ紹介する日々を送っていた。
ある夜、玲司は19歳の少女・朝倉ミナと出会う。
その直後、ミナの知り合いである20歳の水野カナが失踪した。
最初は、ただの家出だと思っていた。
だが、カナの足取りを追うにつれ、ホストクラブ、売掛、借金、スカウト、風俗、パパ活、客引き、案内所、裏金――歌舞伎町に存在する無数の「入口」が、ひとつの巨大な構造としてつながっていることが見えてくる。
人を夜の街へ送り込む者。
人を金に変える者。
仕組みを守る者。
そして、その仕組みからこぼれ落ちた者たち。
玲司の前に現れるのは、同じスカウトマンである相馬伊織。
街の裏側を知り尽くす相馬は、玲司とミナを何度も助ける。
その人脈と情報網は、二人にとって頼れる武器だった。
――そのはずだった。
誰かに選ばれる人生か。
自分で選ぶ人生か。
消えたカナを追ううち、玲司自身もまた、人の人生を「選ぶ側」にいた人間だと突きつけられていく。
30章を彩るのは、30枚のタロット。
これは、歌舞伎町の裏側を暴く物語であり、
「人は本当に、自分の意思で人生を選んでいるのか」を問う物語。
選んだつもりの人生ほど、誰かに選ばされている。