あらすじ
伯爵令嬢リディアは、家族から《病弱な役立たず》と呼ばれていた。
健康で明るい妹。
戦場でも大怪我をしない父。
流行病にも罹らない母。
そして、呪いさえ退ける婚約者。
誰も知らなかった。
彼らが無事だったのは、リディアが二十二年間、その病も傷も呪いも、すべて自分の身体で肩代わりしていたからだということを。
そんなある日、妹から告げられる。
「お姉様。アルベルト様を、私に譲ってください」
父も母も婚約者も、それを望んでいた。
ならば、もういい。
「婚約解消、承知いたしました」
「それから、本日をもって、私はこの家を出ます」
婚約を捨て、相続権を捨て、家族まで辞めたリディア。
――ただし、彼女の《祝福》にはひとつだけ絶対の規則があった。
家族でなくなった者は、守れない。
三日目、父が倒れた。
四日目、母が高熱を出した。
五日目、妹が怪我をした。
そして七日目――元婚約者の腕に、三年前に消えたはずの呪いが浮かび上がる。
その頃リディアは、辺境伯家の嫡男レオンに拾われ、生まれて初めて「誰の痛みも背負わなくていい」暮らしを始めていた。
これは、誰かのために痛み続けた令嬢が家族を辞めて、自分の人生と、自分を大切にしてくれる人を手に入れるまでのお話。