あらすじ
三十九年間、電子顕微鏡を覗き、材料分析を続けてきた理系技術屋・早坂徳良(59歳)。体力の限界から自己都合で円満退職した彼を待ち受けていたのは、無職になった途端に目減りしていく貯金への恐怖だった。
減る一方の口座残高を前に、アラ還おじさんが選んだ第二の人生は、なんとダンジョンの探索者!
しかし、若者が剣や大剣を振り回すなか、おじさんが手にした武器は、長年培った技術屋のメンタリティ(PDCAサイクル)と、ホームセンターの洗剤水、そして犬笛だった!?
「打撃を吸収する液状の身体なら、界面活性剤で表面張力を化学的に中和すればいいんだろ? 理系技術+ラノベで鍛えたおじさんの知識を舐めるなよ」
初期の目的であった土魔法を取得するはずが、それが原子レベルで物質に直接干渉する高等魔法【錬金術】であると気づいた瞬間から、おじさんのダンジョン攻略が加速する。
有効射程300メートルを誇るボルトアクション式の「魔石ライフル」を自作し、鉄の結晶格子を歪ませた魔力絶縁合金『魔鉄』を精錬。
自分だけの快適な地下拠点に温水シャワーを配管し、インベントリから取り出したキンキンに冷えたお茶を飲む。
組織の理不尽な政治や監視の目は、大人のポーカーフェイスとスマホの動画データでスマートに撃退。還暦を迎えたおじさんが、誰にも邪魔されない究極の自由な働き方で、世界の深淵をニヤニヤしながら攻略していく、硬派な理系ファンタジー、ここに開幕!