あらすじ
「レティシア・ヴァン・アルデン! お前との婚約を、今この場をもって破棄する!」
卒業記念夜会で、第一王子から突然の婚約破棄を宣言された伯爵令嬢レティシア。彼女の前世は、大学病院の医療情報システムを保守するエンジニアだった。
階段から落ちた。ドレスがインクで汚れた。レティシアがマリアへ厳しく接した。 事実はある。
――だが、「だからレティシアが犯人だ」という結論だけ、証拠がない。
証拠、因果、権限、手続き。 婚約破棄を一つずつ検証したレティシアの判定は、
「成立要件を満たしていません。よって、保留とします」
事件を整理する中で、レティシアは、誰より人当たりがよく、誰より完璧に振る舞う「氷の公爵」ルーカスと協力することになる。人への接し方は完璧なのに、彼は自分の感情に名前をつけることだけが少し苦手らしい。
事実と推測を分け、分からないことは分からないままにする。そんな二人の会話は、なぜか妙に噛み合って――。
誰も嘘をつかなくても、もっともらしい物語は間違う。そして恋心は、正しく検証しても簡単には棄却できない。
理系令嬢×感情の分類が苦手な公爵の、検証系異世界ラブコメ短編。