あらすじ
明智光秀は、本当に信長を討ったのか。
それとも、歴史は彼に「逆臣」という濡れ衣を着せたのか。
もし、光秀が信長を討ったのではなく、救おうとしていたのだとしたら。
もし、信長が炎の向こう側へ消えていたとしたら。
本能寺の変。
焼け落ちた寺に、信長の遺体はなかった。
愛宕山の発句。
安土天主の密議。
炎上する安土城。
異様に早すぎた秀吉の中国大返し。
沈黙する公家衆。
そして、半月の下、光秀が震える筆で書き残した「不慮の儀」の書状。
光秀は揺れていた。
だが、奥底にある忠義だけは、最後まで揺るがなかった。
これは、歴史を塗り替えるための物語ではない。
残された記録の空白に、もう一つの可能性を灯す物語である。
秀吉が書き換えた歴史。
ルイス・フロイスが記した密書。
光秀が背負った罪。
帰蝶だけが知る、一枚の布の約束。
火を越えた者たちは、何を残し、何を消したのか。
『信長の福音 ―火を越えし者―』
これは、記録の裏側に隠された、もう一つの本能寺である。
読み終えた時、あなたは思うかもしれない。
もしかすると、本当にこうだったのではないか――と。