あらすじ
「殺されたのは、明日の私です」
深夜の県警本部に現れたミステリー作家・御厨冬一。
彼が持参した出版前のゲラには、翌日の夜、自分自身が密室で殺害されることが記されていた。
しかもそこには、事件を担当する刑事・榊理子の名前と、本人以外には知り得ないはずの過去まで書かれている。
そして予告された午後九時十二分。
警察署で保護されていた御厨は、確かに生きていた。
しかし同時刻――彼の自宅から「御厨冬一の死体」が発見される。
生きている本人。
死んでいる本人。
勝手に続きを書き始める小説。
死体が握っていた紙には、こう書かれていた。
『犯人は、この文章を読んだ者の中にいる』
文章が未来を予言しているのか。
それとも、文章が現実を作っているのか。
捜査が進むほど、小説と現実の境界は崩れていく。
そして最後に、事件そのものの前提が覆る。