あらすじ
好きな女の子と学食で向かい合い、講義帰りに寄り道をして、夏にはみんなで海へ行く。青春ラブコメを愛する十八歳の晴仁には、そんなささやかな憧れがあった。ただし、彼は日本の皇族。友達との夕食にも帰宅時間の相談が必要で、恋愛経験は漫画とライトノベルの中にしかない。
念願かなって「篠宮晴人」の名で大学へ通い始めた彼は、さっそく学食で立ち往生。注文に迷って通路を塞いだところを、同級生の小野寺美咲に叱られてしまう。けれど、身分を知らずに笑い、遠慮なく世話を焼いてくれる彼女との昼食は、想像していたどんな名場面より楽しかった。
これで俺にも普通の青春が始まる――と思ったのに、幼なじみの令嬢は新しい交友関係が気に入らず、からかい上手の美人先輩はやたらと距離が近い。大学で出会った若手声優はまさかの推しで、無愛想な創作女子とは、互いの素性を知らずに長年語り合っていた仲だった。
目立たないつもりでも、育ちのよさと妙に丁寧な振る舞いは隠しきれない。困っている女の子を助けようとすれば空回りし、憧れの恋愛展開を期待すれば、彼女たちの都合に振り回される。しかも、推しの声優にまで正体が知られてしまい……。
学園祭の準備で言い合いになった夜も、水着姿に目のやり場を失った夏の日も、漫画のようにはいかない。それでも、格好悪いところを見せたあとに隣で笑ってくれる誰かが、少しずつ特別になっていく。だが、大切な相手ができるほど、名乗れずにいる本当の自分を、いつ、どう伝えるべきか分からなくなる。
「皇族だから」ではなく、「君だから」と選ばれたい。秘密を抱えたオタク皇族と、一筋縄ではいかないヒロインたちが繰り広げる、甘くて騒がしい大学青春ラブコメ!