あらすじ
二〇二六年、令和八年。
東シナ海を航行していた海上自衛隊の艦隊が、突如として消息を絶った。
GPSは沈黙し、衛星通信も途絶。
再びレーダーが捉えたのは、すでに歴史から消えたはずの日本海軍だった。
彼らがたどり着いたのは、一九四四年一月。
日本の敗戦まで、あと一年七か月。
海自隊員たちは知っている。
マリアナ、レイテ、東京大空襲、沖縄。
そして広島、長崎、ソ連参戦、八月十五日。
だが、未来を知っていることと、未来を変えられることは同じではない。
現代のミサイルは補充できない。
半導体も作れない。精密な部品すら再現できない。
ならば、工場から変えるしかない。
工作精度、品質管理、無線、レーダー、航空機整備、医療、防災。
八十一年分の知識を、昭和十九年の技術で一つずつ形にしていく。
しかし未来を知った日本軍の中から、別の声が上がる。
「敗戦を知っているのなら、今度こそ勝てるのではないか」
歴史を変えるほど、知っていた未来は役に立たなくなっていく。
そして世界もまた、日本の変化に気づき始める。
彼らに残された時間は、一年七か月。
目指すのは勝利か。
それとも、まだ誰も知らない終戦か。