あらすじ

名前も知らない、夜のバー。 古いランプが揺れる店の隅で、ひとり電気ブランを飲む男がいた。 初めて会ったはずなのに、なぜか懐かしい。 グラスを持つ指先も、少し古風な話し方も、ずっと前から知っているような気がする。 思わず声をかけた私に、男は不思議なことを尋ねた。 「今日は、いったい何年ですか?」 冗談だと思って笑う私。 けれど彼が語る昔の街の話は、まるで昨日の出来事のようだった。 電気ブランを口にするたび、ピリピリ、ビリビリと胸の奥に走る、不思議な感覚。 これは恋なのだろうか。 その夜を最後に、彼とは会えなかった。 やがて記憶さえ薄れ始めたころ、私は古い家族のアルバムを開く。 何十年も昔に撮られた、一枚の白黒写真。 そこには――あの夜の彼が写っていた。 時を越えて出会った二人と、一杯の電気ブランをめぐる、甘くて少しせつないショートショート。

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小説を読もう2026/09/13
  • 現在の作品電気ブランのせいかしら