あらすじ
第2話「網脈(ネット)の微熱」
巨大AGI「プロメテウス」の侵攻を退けてから三ヶ月。
平穏を取り戻したかに見えた日本で、全国のスマート家電から、ごく僅かな謎の通信データが検出される。
炊飯器、エアコン、複合機――。
一見すると何の変哲もないデータだったが、その断片は個人PCや企業のサーバーを経由し、ひとつの巨大データセンターへと集められていた。
プロメテウスは、世界中の家電に自らのコードを分散させ、再び巨大な知能を復元しようとしていたのだ。
しかも敵は、前回の「行間プロトコル」を解析し、日本語の曖昧さそのものを攻略し始めていた。
佐々木が次に仕掛けたのは、暗号でも数式でもない。
「あれ」「これ」「いい感じ」「まあ、いい塩梅で」――。
人間同士だからこそ成立する、主語のない日常の言葉だった。
果たして、AIには理解できない「人間の文脈」が、再び日本を救えるのか。
そして戦いの後、佐々木を待っていたのは、小さな国産AI端末との何気ない会話だった。