あらすじ
二年の婚約を、二十七分で片づけられた。
「君なら分かってくれる」と婚約を解消された伯爵令嬢サビーヌ。音楽を続ける自由は戻ってきたけれど、傷ついた心までは簡単に戻らない。
そんな彼女の演奏を、もう一度聴きたいと言う男性が現れた。
近衛の儀礼警護を取り仕切る、アウグスト公爵。広い肩に凛々しい軍服、誰もが一歩引く強面の持ち主だ。
けれど彼は、サビーヌの大切な楽譜を、失敗を、冗談にできなかった悲しみを、見逃さなかった。
本の貸し借り。夜に咲く花を見に行く約束。自分のために曲を聴きたいという、まっすぐな好意。
そして、娘が眠ったあとも帰ってほしくないと告げる、熱い声。
人を楽しませて笑うばかりだった私が、今度は、一人の男性から大切にされている。
不器用で甘い公爵との恋を育てながら、音楽のある新しい暮らしへ。
娘の亡き母の思い出も残して三人が家族になる、成人同士の異世界恋愛。