あらすじ
――んたーい!
――んだぞー!
――やめろー!
……ん? と、おれは眉をひそめた。
休日の夕方。買い物を終え、車で帰宅する途中だった。角を曲がり、自宅まであと少しというところで、妙な声が耳に飛び込んできたのだ。
最初は小学生が帰り道でふざけ合っているのかと思ったが、どうやら違うらしい。声の主は大人のようだ。何かを揃えて叫んでいるような、低く濁った声がいくつも重なり合っている。
そのまま速度を落として進むと、いくつかの人影が見えてきた。道路の真ん中に立ち、声を張り上げている。
「何かしら……?」
助手席に座っていた妻が少し身を乗り出し、不安げに言った。