あらすじ
雨の降る王都からの帰り道。
十歳の少女勇者カリナ・ウィングスは、路上で震える一匹の子猫を見つける。
生まれて間もないその小さな命は、冷たい雨に打たれ、すでにひどく衰弱していた。
「このままだと死んじゃう」
周囲の制止も聞かず、カリナは子猫を兵営宿舎へ連れ帰る。
医務官から告げられたのは――今夜が峠だという厳しい現実。
乳を飲ませ、体を温め、眠ることも忘れて小さな命を抱き続けるカリナ。
やがて夜が明け、子猫にも回復の兆しが見え始める。
これで助かる。
そう思った、その矢先――。
勇者だから命を救うのではない。
カリナが戦い続ける理由は、もっと単純で、もっと切実だった。
「命が消えるのが嫌だから――」
これは、まだ十歳の少女だった勇者カリナと、
雨の日に出会った一匹の子猫をめぐる、小さな命の物語。
※カリナが六歳の少女から勇者へと成長していく本編
『少女と精霊の聖剣十年戦記』も公開中です。