あらすじ
エナー・メイリー、十七歳。
名門貴族の一人娘。容姿端麗、家柄良好、婚約者あり。
そして本人も認める、少々――いや、かなり性格の悪い令嬢である。
婚約者ニコラスに親しくする奨学生キャディが気に入らないエナーは、紅茶に塩を入れ、舞踏会で恥をかかせようと企む。
ところが、塩紅茶を飲むのは自分。
嫌がらせはなぜか善行として評価される。
おまけにキャディ本人からは、
「エナーって、私より私のこと好きなのね!」
と論破される始末。
そんな騒々しい日々のさなか、ニコラスを乗せた客船が沈没する。
婚約者の死。
謎めいた手紙。
怪しい船会社。
父を失ったキャディの過去。
悪役令嬢とその宿敵――のはずだった二人は、なぜか一緒に事件を追うことになってしまう。
そしてすべてが終わったとき、エナーが選んだのは改心でも新しい恋でもなく、
「自分探しの旅に出ますわ」
だった。
ただし行き先は、地球儀を回して決めた。
意地悪、屁理屈、人間観察、逆説、そしてだいたい自業自得。
善人になる気のない悪役令嬢エナー・メイリーの、少々ひねくれた四幕喜劇。