あらすじ
素手で人の肌に触れると、その人の本音が聞こえてしまう。
だから令嬢フィオレッタは、いつも手袋をしていた。
その力を商談に利用してきた婚約者は、彼女を「気味悪い」と切り捨てる。
妻にはしたくない。それでも仕事だけは手伝ってほしい――そんな身勝手な願いを断り、フィオレッタは背を向けた。
帰り際、階段で転びかけた彼女を助けたのは、冷徹と恐れられる王弟オズリック。
破れた手袋から素肌が触れた途端、聞こえてきたのは――
〈好きだ〉
〈好きだ。……好きだ〉
殿下、お顔とお心が、まったく合っておりません。
聞き間違いかと思っていたら、翌日には真顔で「君に求愛しに来た」。
手を重ねれば恋心があふれ、手袋をしていても、まっすぐな言葉に赤くさせられる。
怖いはずの王弟殿下は、どうやら恋に不器用なだけらしい。
一方、彼女を手放した元婚約者の仕事は行き詰まり、今さら「戻ってきてくれ」と縋り始めて――。
便利な手として呼び戻されるより、この人と手をつなぎたい。
人の本音を聞くのが怖かった令嬢と、隠しきれない恋心を抱えた王弟。
ちょっと笑えて、ときめいて、結婚後まで甘い、婚約破棄から始まる溺愛ラブストーリー。