あらすじ
大森林の中に、幻想的な風景の中に佇むお屋敷がある。そのお庭には美しく整えられたガゼボがあった。
そこで二人は優雅なティータイムと洒落込んでいた。
——2時間程前までは。
弟子のテルセイは用意された美味しいハーブティーも飲み尽くしてしまった。テーブルの上に置かれたスタンドには、もう軽食は存在しない。
そして師匠の自慢話は終わらない。それどころか、更に加熱していく。僕の心には、もう吹雪が吹いているというのに。
師匠曰くこの世界には誰もが知る、伝説的で偉大で尊敬できて、そして何よりも優しくて美人で魅力的な大魔法使いがいるそうだ。
彼女達はこう呼ばれている。
【始原の大魔法使いプリシラ】
【開闢の大魔法使いアルミー】
【豊穣の大魔法使いレイナ】
【神撃の大魔法使いアルミー】
【賢人の大魔法使いアルミー】
【工匠の大魔法使いレイナ】
【錬金の大魔法使いレイナ】
【戦神の大魔法使いプリシラ】
【教導の大魔法使いアイシス】
この後も数十人の大魔法使いが語られた。
これを聞く弟子テルセイは思った。
世の中には凄い大魔法使いが沢山いるんだあ。
名前被りが多いなあ。
最初の修飾語が多いなあ。
話が長いなあ。
やっと終わりそうだ、と。
そしてお話の最後には、師匠が必ず言うことがある。
「これ全部が私なの!どうよ弟子テルセイ、私凄いでしょ」
いつも師匠の自慢話を聞いている僕は、今日も同じことを思う。
「絶対に嘘ですね」
師匠はその場で泣き崩れた。
「嘘じゃないもん……本当だもん……どおじでデルゼイは信じてくれないの。うえーん!」
そして師匠は泣き叫びながらお屋敷へと走り去った。全く情け無い。
そしてこれはいつものことだ。しばらくすれば何事もなく師匠は外へ出てくるだろう。
僕は気にせず普段の生活へと戻った。
これは、とある大森林に住む本物の大魔法使いの師匠と、その唯一にして割と辛辣な弟子の物語。
あ、プロローグでは主人公テルセイが誘拐されます。
・この物語はフィクションです。実在の人物や組織・団体、特定の思想とは何の関係もありません。
・この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません