あらすじ
魔族とエンジェルが住む国。ロウランド。
辺境の村を治める吸血鬼領主、ウィリアム・ロウランド・アダムハート。
ある満月の夜。
盗賊を追い、領内を巡回していた彼は、荘園の葡萄畑で一人の少女を拾う。
長い耳。
青い尻尾。
首には、強力な呪いを帯びた金属の首輪。
少女は《エヴァ》と名乗り、遠いアアル王国の奴隷商から逃げてきたという。
だが――どうにもおかしい。
嘘を見抜くウィリアムの魔眼は、少女の魂を見通せない。
彼女の周囲では、魔素がどこかへ消えていく。
魔族だけが感じ取る、花蜜のような甘い香り。
そして少女が口にした故郷《エドフ》は、五百年前の竜災で焼失した街だった。
「お前は、何者だ?」
本人はというと。
葡萄を盗み食いし。
メイドに耳を齧られ。
飯を出せば尻尾を振り。
都合が悪くなれば、可哀想な少女のふりをする。
どう見ても、とんでもなく怪しい。
それでもウィリアムは、領主として彼女を保護することを決めた。
そしてこの辺境の村の出会いが、大陸と星の神々を巻き込む運命の始まりであることを、二人はまだ知らない。
ヴァージン・オブ・ブラッド。
その日から、二人の血の因果が始まる。