あらすじ
十年前、世界中で突如として発生した謎の災害《灰冠現象》。
空から降り続ける灰色の粒子は、触れた物質を腐食させ、人間の身体さえも蝕んでいった。
政府は対策を講じるも、灰の侵食を止めることはできなかった。
そんな絶望の中、人々を救ったのは巨大企業《アーク》だった。
防護服、電力、水道、医療、物流、教育、建築、そして治安維持。
災害から十年が経った今、アークは人々の生活そのものを支配する存在となっていた。
高校生・天城レンもまた、そんな世界を「当たり前」として生きていた。
――あの日までは。
ある朝、通っていた学校が《アーク・ハウンド》と呼ばれる戦闘機械に襲撃される。
逃げ惑う生徒たち。
目の前で命を奪われる教師。
崩壊していく日常。
そんな絶望の中、レンのもとへ一本の電話がかかってくる。
電話の主は、赤い瞳を持つ謎の少女――ユナ。
彼女はレンの名前を知っていた。
そして、彼に告げる。
「私を、殺して」
意味の分からない言葉と共に、レンの手に現れた一本のナイフ。
それは、普通の武器ではなかった。
圧倒的な力で戦闘機械を簡単に切り裂いたナイフ。
なぜ自分が「王」と呼ばれるのか。
ユナは何者なのか。
《灰冠現象》の正体とは。
そして、人々を救ったはずの《アーク》は、本当に人類の味方なのか。
死の灰が降り続ける世界で、少年の中に眠っていた物語が動き出す。
これは、滅びゆく世界で始まる――
一人の少年と少女による、世界反逆の物語。