あらすじ
「この穀潰しが」
明治三十八年、東京。
柳本子爵の庶子である満喜乃は、本妻と異母妹から虐げられている。
ある日、満喜乃は妹の代わりに、冷たい仕事人間と恐れられる新興実業家・水瀬修吾のもとへ嫁ぐことになった。
母の入院費のためにも断れない。
怯えながら引き合わされた男性は、以前、街でぶつかった親切な紳士だった。
ほっとするも束の間。
「俺は忙しい。面倒をかけないようにしてくれ」
水瀬に冷たく言い切られてしまう。
言葉の通り、すれ違うばかりの新婚生活が始まった。
しかし、二人の関係は少しずつ変化する。
母親譲りの教養と知恵、そして芯の強さを認め始めた水瀬は、やがて己の壮大な夢を満喜乃に打ち明けた。
「日本の真珠で、世界をひっくり返す」
水瀬を支えるため、西洋風のマナーや言葉のレッスンを重ねる満喜乃は、しだいにその才能を開花させていく。
しかし、水瀬の美しさと優しさを知った異母妹・由華子が牙をむく。
「交換しましょう、お姉様」
柳本家との攻防戦の末、真珠の海へ羽ばたく二人。やがて絆は、潮風に吹かれながら育まれる。
頑なであった夫から注がれる極上の溺愛。
それを受け入れた妻は、美しく成長し凛と花開く。
明治浪漫のサクセスラブストーリー。
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建部満喜乃(たけべ まきの)十七歳:柳本子爵の庶子。的矢の出身、海女。
水瀬修吾(みなせ しゅうご)二十五歳:水瀬商会の社長。
柳本由華子(やなぎもと ゆかこ)十六歳:満喜乃の異母妹。美しく可憐な娘だが、陰で満喜乃をいじめている。
冷泉成親(ひやいずみ なりちか)二十二歳:冷泉伯爵家の長男。由華子の幼馴染。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません