あらすじ
一年じゅう桜の咲く都で、荻野ナズナは「花を咲かせない庭師」と呼ばれている。花より種を残したがる彼女に来た仕事は、花を一晩で食い尽くす皇子・朔の離宮の庭番だった。
けれど初めて会った春喰いの皇子は、ナズナの持ってきた小さな鉢だけを、震える手で守っていた。
彼が食べるのは、本当に春なのか。なぜ、満開の都で子どもは「種」を知らないのか。
土まみれの手と、白い角を持つ手。触れれば冷たい二人の庭で、だれにも急かされない芽がひとつ育ち始める。
花のない庭から国の季節を取り戻す、長編恋愛ファンタジー。