あらすじ
会社員・聡志は、ミャンマーとチベットへの旅をずっと夢見ていた。現地の空気を少しでも肌で感じたくて、独学でチベット語を学び続けてきたが、両国をめぐる国際情勢の悪化により渡航そのものが不可能になり、長年の計画は白紙に戻ってしまう。失意のまま自宅で旅行地図やチベット語の単語帳を眺めていた聡志は、いつしか眠りに落ち、見知らぬ草原の只中で目を覚ます。
そこは冷涼な草原と石造りの村が広がる国・カルナイ・ナードゥ。袖の広い上衣に巻きスカートをまとった人々が、羊毛や毛織物、麦の穀物酒、石工品で生計を立てて暮らしている。行き倒れかけていた聡志を助けたのは、糸を紡いで暮らす老婆だった。