あらすじ
あなたを縛るもの、俺が全部消してやる。」
王都で暮らす冴えない冒険者、レイン。
目立った功績もなく、剣の腕もそこそこ。逃げ足と隠れることだけは妙に得意――周囲からは、そんな冒険者だと思われている。
だが、それは彼が本当の実力を隠しているからだった。
レインがひた隠しにする能力――《イレイサー》。
記録を消す。
記憶を消す。
呪いを消す。
そして時には、他人が身につけたスキルさえも。
いったいどこまで「消せる」のか、レイン自身にも分からない。
そんな力を隠しながら、レインは人知れず困っている者を助けていた。
秘密を握られ、悪徳商人に逆らえない少女。
過去の失敗を利用され、言いなりになっている冒険者。
決して破れない魔法契約に人生を縛られた者。
正面から戦っても救えないのなら――その人を縛っているものを消してしまえばいい。
そんなレインの前に、妙に世間知らずで、妙に度胸があり、そして変装がやたらと上手い少女リシェが現れる。
何かと人助けの現場で鉢合わせする彼女の正体は、城をこっそり抜け出してきた第二王女リシェル。
もちろん、レインはそんなことなど知らない。
そしてリシェルもまた、レインが《イレイサー》であることを知らなかった。
互いに正体を隠した二人は、なぜか今日も同じ事件へ首を突っ込んでいく。
さらにその後ろでは、王女付きの凄腕メイド・クロエが二人をこっそり監視中。
これは、冴えないふりをした冒険者と、お忍び王女が力を合わせ――
脅迫も、呪いも、悪評も。
人々を縛る理不尽を次々と「消して」いく物語。