あらすじ
本作品は、戦国武将尼子義久が率いる鉢屋衆の忍者の創作の物語です。雲州広瀬、月山富田城の峻険な城影を背に、城下を流れる富田川のせせらぎが響く広々とした河原では、尼子の忍び鉢屋衆が朝稽古に励んでいた。安長と流世は徒手空拳(としゅくうけん)の組手を始めた。徒手空拳は各地で古来より独自に発展してきた古武道である。武器を持たない徒手空拳は、柔術と体術と和(やわら)などと呼ばれ発展した。単なる筋力による格闘技ではなく、合理的に骨格を動かし、最小の力で最大の効果を生むという先人たちの智慧が詰まったものである。二人の傍には、真之介と真次郎と良太と沙和が組手を見守り座っている。近くにいた周りの川衆が見物に寄って来た。組手を見物していた川衆は徒手空拳に興味をもった。盗賊から物資を守る為、格闘術を独自にもっていたが防御については何も無かった。目の前で繰り広げられる鉢屋衆の組手は、まるで違っていた。襲いかかる猛打を、紙一重でかわし、掌(てのひら)で滑らせるように逸らす。突然、川衆の一人、竜が大声で安長と流世に懇願するのであった。