あらすじ
腸内フローラって知ってますか?緊張感を全く感じさせない笑顔を浮かべた相棒はそう言った。相棒が言うには腸内には善玉菌と悪玉菌が居て、どちらにも変化する日和見菌があると言う。善玉菌が優勢なら日和見菌は善玉菌に味方し、悪玉菌が優勢なら日和見菌は悪玉菌に味方する。まるで、人間社会と同じようだ。俺がそう言うと相棒は我が意を得たと頷いて続ける。相棒が言うには、人間社会も同じで善玉人間と悪玉人間が居る。そして大半が日和見人間だ。ただ腸内フローラと違うのは善玉人間がごく少数派で劣勢、悪玉人間は徒党を組んで力を誇示するので優勢だそうだ。理由は善玉人間には努力と自己犠牲が必須で悪玉人間は自己主張と声の大きさがあれば良いからだそうだ。注意が必要なのは、善玉人間の仮面を被った悪玉人間が居て、善玉人間に味方したい日和見人間を翻弄する事だそうだ。そして質の悪い事に善玉人間の仮面を被った悪玉人間は自分が悪玉人間なのに気付いていない、または自分自身を善玉人間だと騙している。そして相棒が言うには俺は希少な本物の善玉人間だそうだ。
ずっと二人で暮していた婆ちゃんを癌で亡くし、工事の発注先の大手企業が詐欺に遭いそのあおりを喰らって働いていた建設会社が倒産して独りになった俺の前に現れたのは、俺と同じ顔をした男と俺たちを獄中で産んだと言う派手な髪色のオバサンだった。俺と同じ顔をした男は顔を合わせた途端に特殊警棒を振り上げ攻撃して来た。俺は小学生の頃から習っている合気道で手荒に取り押さえたが、俺と同じ顔をした男は痛みを感じない体質らしく何事も無かったように拳銃を取り出した。手加減できる状況でなくなった俺は、俺と同じ顔をした男と相打ちを覚悟した。しかし、拳銃に反応した派手な髪色のオバサンに着いて来ていた巨躯の男に俺と同じ顔をした男は圧死させられる。不自然な格好で動かなくなった俺と同じ顔をした男の死体は派手な髪色のオバサンにくっ付いて来た胡散臭いオヤジの助言でオバサンが呼んだ葬儀屋が引き取って行った。俺は葬儀屋のアドバイスに従い、圧死した俺と顔をした男、刑事だった葛城刑一として目撃情報を残して姿を消すつもりだった。しかし、葛城刑一名義のマンションの前で、不思議な雰囲気の結城と名乗る刑事に出くわす。結城は新しい葛城刑一のバディだと言う。行方を眩ますチャンスを逃した俺は、結城と行動を共にする事になる。仕方なく所轄署に顔を出した俺と結城は、大手建設会社を標的にした大掛かりな詐欺事件の捜査の補助として二課へ協力するように命を受ける。二課に顔を出した俺は二課の課長があの胡散臭いオヤジで結城に見せられたホロコーストだと気付く。ホロコーストが俺の働いていた建設会社を倒産させた現況だと知った俺は結城と二課の若い刑事バンビと共に事件解決に乗り出す。