あらすじ
◎物語の紹介
独立都市テーゼの執政官補佐アルベルト・ロッツォは、人外級の記憶力と洞察力を持つ、都市行政の中核人物である。若き領主エリシアを支えながら政務に追われる彼の傍らには、リンという白銀髪の幼い少女がいる。
リンは三百年前、ある悲劇の中で"神性"を暴発させ、一つの領地を消滅させた存在だった。
この世界では、人々の祈りや崇めが神を縛り、人の手の届かない存在へ変えてしまう。
だからアルベルトたちは、リンを神として祀らない。
祈らず、崇めず、跪かず、ただ一人の子供として手を取り、ともに暮らしている。
テーゼは、四大国に囲まれた完全中立の独立都市。政教分離を掲げるその街で暮らす変わり者たちは、少女神を"崇拝"ではなく"隣人"として守ってきた。
物語は、アルベルト、エリシア、リンが隣国リヒテンラーデの開国祭を訪れるところから始まる。
到着早々、エリシアが路上賭博でお小遣い全部巻き上げられるという珍騒動を経て、開国祭の目玉であるオークションに、三百年前のリンの素描画が出品される事が判明する。
しかし落札に必要な金額はあまりに遠い。
リンの願いを叶えるため、アルベルトたちは賭場を渡り歩き、知略と心理戦で資金を積み上げていく。
その先で待つのは、裏街の統括者選定ゲーム、周辺諸国の要人たちとの交錯、オークション、舞踏会、そしてリンと素描画を巡る結末。
これは、祈られることで遠い存在になってしまう少女神と、祈らないことで彼女を守ろうとした者たちの、毎日何事か起こる、濃密且つ多忙な12日間の旅の物語である。
◎本作のコンセプト
①世界は救わない。けれど、傍らの誰かは守る
②神を祀るのでなく、子供としてともに生きる
③人外級の頭脳による智略と心理戦
④重い過去を、温かな共同体の眼差しで描く
⑤ヒューマンドラマとコメディの往還
⑥読後に安心と余韻が残る物語