あらすじ
人は、罪を犯したから罪悪感を抱くのか。
それとも、罪悪感を抱くから「罪」を知るのか。
刑事・山際均、48歳。
日吉神社の近くで発見された一人の遺体を追ううち、彼は奇妙な違和感に気づく。
証言者によって、被害者の性格も生活もまるで違う。
所持品には、存在するはずのない発行年の硬貨。
そして認知症の父・武男は、被害者の写真を見て呟く。
「また来た。向こうからや」
神社裏に立つ、赤と銀の色褪せた巨大なヒーロー人形。
その向こうには、現実とほとんど同じなのに、ひとつだけ決定的に異なる世界があった。
そこでは、人は罪悪感を持たない。
捜査を進めるほど、均自身の記憶にも空白が生まれていく。
事件当夜、自分は本当にどこにいたのか。
そして、父は何を知っているのか。
他人の罪を追う刑事が、最後に向き合うのは――
自分自身の中にある「罪悪感の在処」だった。
異世界×刑事ミステリー。
記憶、罪、家族、そして“人間らしさ”をめぐる物語。