あらすじ

私は、可愛いとは無縁の女だと思っていた。 ヴァレンティア家に生まれ、幼い頃から剣を握って育った私は、誰よりも強くなることを目指してきた。 父も、兄たちも、皆が立派な騎士だった。 だから私も、大切な人を守れる強い騎士になりたかった。 けれど、成長するにつれて周囲から向けられる言葉は決まっていた。 ――格好いい。 ――凛々しい。 ――美しい。 ――まるで氷のような女だ。 「可愛い」と言われた記憶は、ほとんどない。 いつしか私は、それでいいのだと思うようになった。 強ければいい。 頼られる存在であればいい。 弱さを見せず、誰にも迷惑をかけなければいい。 そうして私は、王国騎士団第三騎士団長となった。 部下から恐れられるほど厳しく、自分自身にも厳しく。 けれど――そんな私にも、密かに心を許している部下がいた。 明るくて、素直で、少し騒がしくて。 失敗しても何度でも立ち上がる、不思議な青年。 レオン。 最初は、ただの不器用な新人騎士だった。 けれど、どれだけ叱ってもめげず、どれだけ失敗しても諦めず、いつも真っ直ぐな瞳で私を見つめてくる。 「団長みたいな騎士になるのが、俺の目標です!」 そう言って笑う彼を見ていると、不思議と心が温かくなった。 私は知らなかった。 彼が私のことを、ずっと特別な目で見ていたことも。 私自身が、少しずつ彼を特別な存在として意識していたことも。

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小説を読もう2026/09/12
  • 現在の作品『可愛げがないと言われた女騎士団長は、無自覚わんこ副団長に溺愛される。』連載版