あらすじ
師匠を看取った若者ハクは、辺境の山小屋を出て世界を見て回る旅に出た。目的はない。
持ち物は背負い袋ひとつと、世界に9個しかない磨き玉「文珠」。使い切りで、数日に1個しか作れず、作れるのは世界でハク一人。だから本人は徹底的に出し惜しむ。狼は素手で折り、病は薬を煮て、それでも届かないものにだけ、ビー玉を1個。
周りはそれを見て勝手に驚き、勝手に神格化し、勝手に噂を運ぶ。本人は「これくらい誰でもできる。師匠ならもっと上手い」と本気で思っている。
語るのはハクではない。街道ですれ違った行商人、村のまとめ役、宿の主人。アークごとに語り手が変わる、観測者視点の連作ファンタジー。