あらすじ
世界を救うためには、たった一人の大切な人を犠牲にしなければならない。
けれど聖女シアには、それができなかった。
世界を蝕む《厄災》に呑まれた聖騎士ルーファスを前に、彼女は世界と彼のどちらも選ぶことができず、幼馴染のリアム、魔法使いのリカルドとゼノとともに、最後の戦いに敗れる。
すべてが終わる、その瞬間。
ゼノが禁じられた魔法を発動した。
そして――世界は、すべてを忘れた。
次にシアが目を覚ましたのは、見知らぬ海辺だった。
自分が聖女だったことも、大切だった人たちのことも、自分の名前さえも覚えていない。
そんな彼女が港町で出会ったのは、同じく記憶を失った青年ハヴェルだった。
彼の荷物には、人々が決して近づかない大陸中央の《内海さま》と、その底に眠るとされる《蒼きもの》について調べていた痕跡が残されていた。
行く場所のないシアと、自分が何者だったのかを知りたいハヴェル。
二人は失われた記憶を探す旅へ出る。
旅の先でシアを待っていたのは、彼女をずっと探していた幼馴染と、王都で眠り続けている聖騎士、そして、何も知らないはずなのに時折すべてを知っているような目をする、一人の魔法使いだった。
なぜ世界は、彼らの敗北を覚えていないのか。
なぜシアは、大切だった人たちを忘れてしまったのか。
そして――ゼノはあの日、何をしたのか。
失われた記憶をひとつずつ拾うたび、シアは世界が忘れてしまった「あの日」へ近づいていく。
これは、世界のために誰かを諦める物語ではない。
もう一度、みんなで明日を迎えるための物語。
※完結確約です☺︎