あらすじ
『再演』
二つの世界が一つになる。その運命を、二人は止められるのか。
あらすじ
意識は、進化の結果なのか。
それとも、意識の変化が進化を生み出したのか。
哲学を専門とする大学非常勤講師・間宮真司は、そんな問いを学生たちに投げかけながら、自身も答えを探し続けていた。
ある日、亡き父・間宮正司が残した研究ノートを開いた真司は、十五年前に観測された奇妙なブラックホールの記録を見つける。
一つであるはずの天体。
一つであるはずの重力中心。
しかし観測データには、まるで異なる状態が同じ場所に重なっているような異常が残されていた。
父の大学時代の友人であり、天文学者の浅田正人を訪ねた真司は、その異常が一つのブラックホールだけではなく、別の天体へも広がり始めていることを知る。
そして――。
もう一つの世界。
同じ六畳一間で、同じようにネット掲示板へ自説を書き込む間宮真司。
だが、そのスマートフォンには、
父からのメッセージが届く。
こちらの世界では、間宮正司は生きていた。
一方、東和大学で物理学を教える助教・浅田舞の父、浅田正人はすでに亡くなっている。
舞は量子力学の講義中、ふと一つの疑問に引っかかる。
観測されなかった可能性は、本当に存在しなかったと言えるのか。
その頃、気象学者となった間宮正司は、十五年前からある異常現象を追い続けていた。
雷雲のない空に突然現れる光。
一〇〇〇度近くまで跳ね上がる熱源。
そして数秒後、まるで最初から存在しなかったかのように消失する熱。
さらに、その発生間隔は少しずつ短くなっていた。
ブラックホールの異常。
消える熱源。
観測されなかった可能性。
亡くなった者と、生きている者。
同じ人物が存在しながら、少しずつ異なる二つの世界。
互いを知らないまま進んでいた二つの世界は、やがて少しずつ重なり始める。
それは偶然なのか。
それとも、宇宙そのものが繰り返してきた――