あらすじ
あらすじ
異世界で十八年間を生き抜き、魔王を討った勇者・黒瀬蓮は、ある日突然、日本へ帰還した。
そこは十八年前と何も変わらない日本だった。
魔法は存在しない。
魔物も存在しない。
ダンジョンもない。
超能力者もいない。
異世界など、誰も知らない。
ただ一つだけ。
蓮の中に残った《収納》を除いて。
異世界で手に入れた金貨、宝石、魔道具、武器、食料、薬、そして勇者の装備。
その全てを、蓮は容量無限の収納空間に保管したまま帰ってきていた。
「……これ、売ったらいくらになるんだ?」
最初はただ、日本で静かに暮らすつもりだった。
だが問題が起きる。
異世界の金貨を換金すれば、その出所を聞かれる。
魔法薬を使えば、成分不明の薬として問題になる。
魔道具を使えば、既存の科学では説明できない。
そして何より――
異世界から持ち帰った物資を、蓮は普通の人間では到底管理できない量で保有していた。
政府は蓮を調査しようとする。
警察は事情聴取を求める。
自衛隊は異世界由来の危険物が存在する可能性を疑う。
しかし、蓮は言った。
「俺はもう、誰かの命令で生きるのは飽きたんだよ」
異世界では十八年間、勇者として戦った。
魔王を倒した。
国王にも会った。
貴族にも利用された。
仲間にも裏切られた。
だから今度くらいは、自分の好きなように生きる。
家を買う。
異世界の金で商売する。
収納から必要なものを取り出す。
誰かに頼まれれば助ける。
助けたくなければ助けない。
そして――
「俺の収納に何が入っているか?」
蓮は笑う。
「政府に教える義務なんて、どこにもないだろ」
これは、異世界から帰ってきた一人の男が、
誰も魔法を知らない現代日本で、ただ一人だけ異世界の力を持ったまま自由に生きる物語。
そして日本政府は、まだ知らない。
彼の収納の中には、
一つの国を滅ぼせるほどの武器と、
一つの国を救えるほどの物資が、
すでに揃っていることを。
⸻