あらすじ
「星も読めぬ、辛気臭い巫女」——そう嘲られ、次期船長ユリアン王子から《航路婚約》を破棄されたロゼリア・アステリオン。
しかし彼女は、この場でただ一人、真実を知っていた。
剣と魔法の異世界と思われたこの世界の正体は、星々の海を渡る巨大な世代宇宙船『聖アルヴィス方舟』。『聖なる結界樹』は生命維持コアであり、代々の巫女が捧げる『祈祷』とは、船を制御する操船コマンドだったのだ。
前世で軌道エンジニアだったロゼリアの目には、この世界が『魔法』ではなく『機械』として映っている。そして彼女は気づいていた——方舟はとうに目的地を通り過ぎ、偽りの星空の下、ただ闇を漂い続けていることに。
新式魔法で楽園を約束する聖女ミレーユは、炉心に何をしているのか本当に理解していない。婚約破棄を受け入れたその夜、生命維持コアが警告を発した。
「私、方舟を降ります。本物の星を、この手で見つけるために」
数十年がかりで刻み続けた緊急航路プログラム。誰も意味を知らぬまま迷信化した、真の巫女権限。忠実な老家令セルウィンと共に、ロゼリアは偽りの楽園を捨て、本物の星を目指す。
そしてたどり着いた新世界で待っていたのは、無骨な戦士ガレスとの出会い、そして——彼らより前に故郷を捨てた、もう一隻の方舟の謎。
「次の星も——あなたと読みたい」
偽りの楽園を降りた巫女の、本物の航路がここから始まる。SF×ファンタジー、婚約破棄からの痛快な旅立ちの物語。