あらすじ
奴隷として生きるアインシュ族の少年、ナルシサス。
彼は、母と共に過酷な労働を強いられながらも、教典の教えを信じて生きていた。
「僕たちは、ご先祖様が犯した罪を償わなければならない」
そう信じていれば、辛い毎日にも耐えられた。
何より、優しく温かい母がそばにいてくれたから。
いつか奴隷から抜け出し、母と二人で普通の暮らしをする。
それが、ナルシサスの小さな願いだった。
しかし、その願いは母の死によって無残にも打ち砕かれる。
母の亡骸を弔うため、スラム街の奥地へ向かったナルシサスは、そこで一人のアインシュ族の男と出会う。
男はナルシサスに告げた。
「君が信じている教典は…嘘に塗り固められている」
その言葉を、ナルシサスは受け入れることができなかった。
母と共に信じてきた教え。
奴隷として必死に生きてきた意味。
そして、母との約束。
すべてが嘘だったとしたら、自分たちの人生はいったい何だったのか。
答えを出せないまま、ナルシサスは男の誘いを断る。
だが翌日、母が残した一枚の刺繍を見つけたことで、彼の心は動き始める。
「あなたは幸せになって」
母が最後に残した言葉を胸に、ナルシサスは奴隷の身分を捨て、走り出した。
逃亡の途中、彼を助けてくれたのは、檸檬色の髪をした一人の少女だった。
そして
ナルシサスは、再びあの男のもとへ向かう。
これは、後に「俺様」と豪語する少年が、初めて自分自身の人生を選んだ日の物語。