あらすじ
「――たった1人でもいい。お前自身の手で、誰かを幸せにしてやりなさい」
遠い過去の記憶と、胸に残されたその言葉だけを胸に、少年アルトは旅を続けていた。
剣の才能もなく、強い魔法も使えない。
英雄にはなれないけれど、それでも彼は、自分の手で誰かを救う場所を探していた。
辿り着いた交易都市で出会ったのは、街の小さな食堂で健気に働く少女、セリア。
温かい料理と穏やかな日々の中で、二人は少しずつ心を通わせ、友情を深めていく。
しかし――セリアを襲う理不尽なトラブルに直面した時、アルトの「歪み」が牙をむく。
自分の骨が折れようと、血を流そうと、一切意に介さず笑ってみせる少年。
自分の身を削ってまで自分を守ろうとするアルトの姿に、セリアの心は激しく痛む。
『お願いだから、私のために死にそうにならないで……っ!』
自分を省みない少年の狂気的なまでの善意と、それに苦悩し、罪悪感に打ちのめされていく少女。
泥を舐め、傷つき、失いながらも――二人が「本当の幸せ」を掴み取るまでの物語。