あらすじ

三歳の少女エマには、ちょっと不思議な力がある。 落ちている物に触れると、その《もちぬし》がいる方向が、なんとなく分かるのだ。 だからエマは、落とし物を放っておけない。 「しおん! これ、かえちてくる!」 「待て」 「しゅぐそこ!」 「お前の『すぐそこ』を俺は信用してない」 そんなエマを訳あって預かることになったのは、十五歳の天才冒険者シオン。 魔物を倒すのは簡単でも、三歳児の世話なんてしたことがない。 野菜は食べない。 すぐ迷子になる。 知らない人についていこうとする。 魔物まで拾ってくる。 そして何より、落とし物を見つけるたびに《もちぬし》のところへ行こうとする。 銅貨一枚。 片方だけの靴。 古びた指輪。 折れた剣。 血のついた手紙。 小さな首輪。 ときには、その持ち主が人間ではないことも。 百年前に死んでいることさえある。 「行く!」 「行かない」 「かえさないと!」 「行かない」 「しおん!」 「そんな目をしても駄目だ」 ――結局、行く。 そんなある日。 エマは亡くなった母親の形見だと聞かされていた古いペンダントを握り、何気なく《もちぬし》を使う。 「あれ?」 「どうした」 「おかあしゃん、いるよ?」 死んだはずの母親が、どこかで生きている。 これは小さな忘れもの屋さんと、帰る場所を持たない少年が、たくさんの「忘れもの」を届けながら、いつか自分たちの帰る場所を見つける物語。

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小説を読もう2026/09/12
  • 現在の作品忘れもの屋のエマ ~拾ったものには、帰る場所がある~