あらすじ

来ることは分かっている。分からないのは、終わり方だけだ。 三月某日未明、伊豆・小笠原海溝の深部で、十か月間沈黙していた三つの音源が動き出した。政府は針路と速度から到達予測を公表する――十月、房総沖二百キロ圏。 あの十日間から、一年。夜間外出禁止令と封鎖区域を抱えたまま、列島は復興の二年目に入っていた。山に住み着いた獣、皇居外苑で解体の進む巨大な死骸、無人のはずの区域に残る人々。命がけだった知識は、いつのまにか業務手順書になっている。 物流会社の中間管理職・西村浩司、三十六歳。復興輸送部の課長として封鎖区域への夜間便を仕切るかたわら、防衛省の委嘱を受け、「あの十日間」の民間証言を聞き書きしている。動線を引き、名簿を作り、人の話を書き取る。特殊な技能も装備も、相変わらず持っていない。 やがて公海上での先制駆除が国会にかけられ、民間輸送事業者に防衛協力指定が届く。今度は、家族に全部を説明してから決めなければならなかった。

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カクヨム2026/09/12
  • 現在の作品群獣襲来Ⅱ ―列島、一年目―