あらすじ
王国のため、愛してもいない王子との政略結婚を決められた王女。
結婚式を目前に控えたある日、彼女は城を抜け出した先の街で、一人の不思議な男と出会う。
上品な服装。優雅な振る舞い。少し意地悪で、それでいて誰よりも自由な笑顔。
名前も素性もろくに明かさない彼に、王女は少しずつ惹かれていった。
彼女は王女であることを隠し、男もまた、自分の正体を隠していた。
なぜなら彼こそ、貴族たちを騒がせる王国一の大泥棒――「怪盗紳士」だったからだ。
しかし二人の関係に気づいた婚約者の王子は、男に金を渡して王女の前から消えるよう命じる。
そして王女が目撃したのは、その金を受け取る彼の姿だった。
「……私って、いくらだったの?」
涙を流し、彼に平手打ちをして去る王女。
誤解されたまま迎えた結婚式当日。
大勢の貴族と王族が見守る中、一人の男が式場へと現れる。
「その結婚、少し待っていただこうか」
そして王国一の怪盗は、人生最大の盗みを始める。
狙うのは宝石でも、黄金でも、王冠でもない。
――花嫁。
これは、自由を知らなかった王女と、何者にも縛られない怪盗が出会い、やがて二人で世界を騒がせる“華麗なる盗賊”となるまでの恋物語。