あらすじ
鳩峰フユコ、二十代。職業――旅行してます。
旅行記を書いて原稿料をもらうこともあるが、それだけでは宿代にもならない。バックパックを背負い、気になる土地があれば、とりあえずそこまで行ってみる。
今回やって来たのは、仏蘭西・シャモニー。
目的地はアルプス最高峰、モンブラン。
列車で出会った怪しい保険屋に「山の神は最初の一人を取る」と脅され、スーパーでなぜかヨーグルトを買い、ガイドには「一番安全な登山方法は登らないことだ」と諭される。
それでもフユコは山へ向かう。
もっと楽に登る方法はないのか。
風船ならどうか。吸盤ならどうか。山羊に引かせればどうか。
しかし考えれば考えるほど、どうやら山というものは、下から自分の脚で登るほかないらしい。
世界は画面でも見られる。
地図も映像も衛星写真もある。
それでも、人はなぜ旅をするのだろう。
若き旅行家・鳩峰フユコが世界を歩く、少し可笑しくて、ときどき真面目な旅道中記。
第一歩は、モンブランから。