あらすじ
~登場人物の紹介とあらすじ~
i) 登場人物の紹介
【詠斗】
今を楽しむことを大切にする、行動派の男子高校生。仲間を守ろうとする気持ちは人一倍強いが、その思いが先走り、相手の選択まで自分で決めようとしてしまうこともある。謎の未来映像を追う中で、「守ること」と「一緒に決めること」の違いを学んでいく。
【美和】
人前でも物怖じせず、自分の選択を信じて前へ進める女子高校生。詠斗に守られるだけの存在になることを拒み、自ら未来の謎へ向き合う。嵐の灯台で二本指を掲げる未来の美和こそが、物語最大の謎となる。
【繁】
細かな違いによく気づき、新しい可能性を柔軟に考えられる男子高校生。古い装置の記録や映像データを分析し、仲間たちの推測を技術的な根拠へ変えていく。
【静哉】
急な変化にも慎重に向き合い、必要なら素直に他人の助けを借りられる男子高校生。危険を見落とさず、仲間が暴走しそうなときには立ち止まらせる、チームの安全を支える存在。
【里圭子】
困難な状況でも冷静さを失わず、情報を整理して確実な行動へ結びつける女子高校生。感情や推測だけで結論を出さず、「今、証明できること」を積み上げて五人を導く。
ii) あらすじ
台風接近を控えた市立汐凪高校。
体育倉庫の奥で詠斗たち五人が見つけたのは、電源コードが切れているはずなのに突然映像を映し出した、正体不明の古い装置だった。
画面に現れたのは、およそ四十八時間先らしい光景。
そして二度目の八秒間の映像には、嵐に包まれた白岬灯台と、頬を傷つけ、カメラへ二本の指を掲げる美和の姿が映っていた。
あれはピースサインなのか。
未来の美和は、なぜ灯台にいるのか。
そして、何を伝えようとしているのか。
五人が調査を進めるにつれ、装置はかつて白岬で行われていた「未来予知」ではない実験の受信機だったことが判明する。映るのは確定した未来ではなく、現在に近い条件から分岐した「別の可能性」。
ならば、未来は変えられる。
だが未来映像そのものを災害の証拠にはできない。
五人は古い高潮記録、現在の気圧、風向、水位、停電状況を一つずつ調べ、八秒間に隠された警告を現実の防災行動へ変えていく。
やがて台風が汐凪市を直撃。
第一高潮が去り、町に「もう終わった」という空気が広がり始めたとき、詠斗たちは二本指の本当の意味へたどり着く。
それは「ピース」ではない。
――「2」。
二度目の高潮が来る。
未来を知れば人は救えるのか。
それとも、未来を知らなくても誰かと正しく選ぶことが、人を救うのか。