あらすじ
意識は、進化の結果なのか。
それとも――意識が、進化を生んだのか。
哲学を専門とする大学の非常勤講師・間宮真司は、講義の中で「意思」「主体性」「意識」について学生たちと考えていた。
生物は、ただ環境に適応してきただけなのか。
それとも、自ら何かを求める性質が、進化そのものに影響してきたのか。
答えのない問いをAIとの対話で掘り下げていた真司は、ある日、亡き父・正司が残した研究ノートを手にする。
そこには、自分が今まさに考えていた問いと酷似した言葉が記されていた。
物理学者だった父は、何を追っていたのか。
ノートを読み進めるうち、真司は天体の異常、意識、宇宙の始まりと終わり、そして「再演」と呼ばれる奇妙な仮説へ近づいていく。
やがてネット上で出会った一人の人物との対話をきっかけに、真司の世界では説明できない出来事が少しずつ姿を現し始める。
消える書き込み。
ずれる天体。
音のない光。
そして、重なり始める二つの世界。
父が残したのは、答えではなかった。
世界そのものを疑うための、ひとつの問いだった。
宇宙は一度きりなのか。
それとも、終わるたびに姿を変えながら――何度も再演されているのか。