あらすじ
王都セレスティアの東通りにある、小さな食堂《銀の匙》。
店を切り盛りする二十四歳のミレイには、少し気になる常連客がいた。
毎日ほぼ同じ時間にやってきて、同じ席に座り、同じ料理を頼む無口な男。
注文はいつも決まっている。
鶏肉とじゃがいものスープ。
それに黒パンを一つ。
そんな男が、ある日を境にぱったりと店へ来なくなった。
そして五日後。
ようやく戻ってきた男は、いつものスープをひと口食べて、こう言った。
「……やっぱりこれだ」
なぜ彼は、毎日同じ料理を食べに来るのか。
これは、王都の片すみにある小さな食堂と、一杯のスープに残る思い出の物語。