あらすじ
北アルプス・槍ヶ岳でのあの凄惨な事件から数ヶ月。凍てつく白い闇を乗り越え、互いの想いを確かめ合ったエドと宮越 あやの。高校卒業を控えた二人は、過去のトラウマを癒やすため、そして新たな一歩を踏み出すために、おんせん県として名高い大分県へと卒業旅行に訪れていた。
別府の立ち上る温かな湯煙、そして由布院の霧に包まれた美しい金鱗湖(きんりんこ)。冷酷に命を奪おうとした山の霧とは違う、身体と心を優しく包み込む温かな世界のなかで、二人の距離は少しずつ縮まっていく。
「エド、あのとき私の手を離さないでいてくれて、ありがとう」
湯気の向こう側で、あやのが初めて見せる、過去の呪縛から解き放たれた本物の笑顔。インドネシア・南カリマンタン州の温もりを懐かしむエドの右手を、あやのの温かな手がそっと包み込む。もう誰も、二人を邪魔するものはいない。
極限のサイコスリラーを生き延びた二人が、傷を癒やし、本当の愛を見つけるための、甘く切ない温泉ヒーリング・ロマンス。