あらすじ
長く国境を閉ざしていた小国との戦争が終わった。
勝者となった「剣と知の国」の王フォルティスは、制圧した城の地下で、一人の少女を見つける。
白い髪に桃色を宿した、ひどく痩せた少女。
まともな食事も与えられず、名を問われても答えない。
ただ、その身には人の傷を癒やす不思議な力があった。
彼女がその国で何をされ、なぜ地下に閉じ込められていたのか。
まだ何も知らないまま、フォルティスは少女を自国へ連れ帰る。
「喋るな」
それが、王が彼女に与えた最初の命令だった。
やがて少女はルーチェという新しい名を得て、王の城で少しずつ失っていたものを取り戻していく。
温かな食事。
安心して眠れる部屋。
自分のために怒ってくれる人。
守ることを選んだ護衛。
そして、自分を決して道具として扱わない王。
これは、誰かのために生きることしか知らなかった白い姫が、自分自身の人生を取り戻していく物語。
そして彼女を拾ったつもりなどなかった北の王が、いつしかその小さな手を、生涯離せなくなるまでの物語。