あらすじ
フランス・アルル/カマルグを舞台にした20代30代女性向け国際恋愛の短編小説。
前後編で完結する読み切り作品です。
十月上旬。十一日間の休暇で南フランス・アルルを訪れた30歳の空間デザイナー、小川レイは、土曜市場で強い風にあおられた露店の布を押さえたことから、革製の鞍や馬具を作る32歳のジュリアンと出会う。ところが夕方、借りた部屋へ戻ったレイは、同じ中庭の一階が彼の工房だと知る。翌日から二人は、どちらかが買ってきたアルルの食べ物を中庭の石段で半分ずつ食べるようになる。ジュリアンに誘われ、自転車でカマルグの湿地へ出かけるレイ。白い馬、ヨシを渡る風、浅い水面に立つフラミンゴ。大きな事件はない。それでも、隣で食べ、走り、黙って景色を見る時間が増えるほど、レイは十一日間だけの出会いとして終わらせることが難しくなっていく。二人とも距離を置かない。最後まで近づき続けた先で、レイ自身が「帰国後も続く関係」を選ぶ恋愛物語。