あらすじ
二人分の修理代を一人分にされかけた錠前師の私は、婚約者と工具箱を持って工房を去り、誰にも急かされず二人で夕飯を食べられる暮らしを手に入れると決めた。
錠の内部を直すのはフィリップ、鍵を合わせるのは私。声が小さいからといって、彼の仕事まで小さく扱われては困る。
とはいえ、頼れる年上の婚約者でいようと、工具箱まで抱え込む私の腕もそろそろ限界だ。
退職日の夕刻には、最後の納品と住み込み部屋の明け渡しが待っている。給金を握る親方に対し、私は伯爵家の使用人たちへ、二人の修理を見届けてもらうことにした。
新居で使う皿は、一枚ずつ選んである。
あとは、二人の働きを一人分で済ませようとする人との用件を終えるだけ。