あらすじ
「お前は感情を持たぬ人形だ。心なき欠陥品と結婚できるわけがない」
王太子アルヴィスは、公衆の面前でセラフィーナに婚約破棄を突きつけた。感情を表に出さない彼女は「血の通わぬ人形」と嘲られ、王城を追放される。
だが、誰も知らなかった。彼女こそが、国境を魔物から守り、王都の灯りを支え、数百万の民の命を無言で守り続けてきた国家の要――王家の魔導防壁『世界樹の心臓』の唯一の管理者であることを。
その制御中枢は、セラフィーナの左胸に宿る魔導核と完全に同期していた。前世で過労死した精密機械技師・宮下深冬の記憶と知識を頼りに、彼女はこの防壁を十年かけて誰にも複製できぬよう組み上げてきたのだ。
「かしこまりました。――私は欠陥品ですので。修理も、維持も、もうできません」
彼女が城を去った瞬間、王城の灯りが一斉に消える。王家は自ら、国の“心臓”を捨てたのだ。
忠実な侍女エルナと共に、セラフィーナは自分自身のために生きる二度目の人生を歩み始める。そして、崩れゆく祖国からは今日も修理依頼の使者が絶えず訪れるが――なお、修理の依頼は受け付けません。
人形と蔑まれた令嬢が、本当の心を取り戻す痛快追放ざまぁ物語。