あらすじ
――男は鉄の棺桶の中で、ただ笑っていた。
創歴1113年、冬。
人間が自らの肉体ではなく、直立機甲決戦兵器(ウォードール)で戦争をする時代。
突如として帝国の大軍が皇国へ電撃侵攻を開始した。
総司令官は保身のために撤退作戦を決断。それは自国の領地の食料を徴収し、基地を爆破して逃げ延びる焦土作戦であった。
いまだかつてないその撤退劇は、のちの歴史家から「敵前逃亡」と評された。
残されたのは、捨て駒の兵たちと、「鉄の棺桶(カッパー)」のみ。
迫り来るは、雪原を疾走する帝国の最新鋭機「黒騎士(リツァーリ)」。
誰もが死を覚悟したその絶望の銀世界で、新兵・九条嗣巳は配備された鉄塊のコクピットに身を沈め、静かに呼吸を整えていた。
感情を失った能面の青年。
しかし、密閉された暗闇の中で耳朶を打ったのは、己自身の溢れ出す笑い声だった。
これは、戦場でしか生きられぬ男の生きざまを描いた戦記である。
※某戦記小説を深くリスペクト・オマージュしています。苦手な方はご遠慮ください。
(基本はオリジナルですが、序盤の展開・空気感をオマージュしています)
※処女作です。